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アスリートプア~奨学金に悩まされる現実~

年間600人ほどの若者が、奨学金の返済から自己破産を行っているらしい。

幸い私は奨学金を借りることなく大学を卒業したのだが、問題視するべく話であるように感じる。


仕事柄、大学生アスリートとの接点も非常に多いのだが、スポーツ特待生で学費、寮費が免除となるレベルの学生はごくわずかであることは皆さんもわかるだろう。
学生ながらに五輪に出場するような選手であっても、学費、寮費が免除とならない場合もある。

高校時代にインターハイで優勝、ジュニアの世界大会に出場したとしても、学費、寮費が免除にならない場合があるくらい狭き門である。

それでも、ご両親含め大学でも競技を続けたいという選手がほとんどなので、多くの選手は大学に活動のステージを移す。
指定校推薦などで、スポーツの強豪校から有名私大などのスポーツ強豪校へ進学することになるのだが、経済的理由で奨学金を利用する学生が一般学生より割合が高いのである。

大学生の2・5人に1人が奨学金を受給していると言われているのだが、「俺調べ」によると、107人の体育会系運動部所属の学生に実態を確認したところ、72人が何らかの形で奨学金を受給しているという事がわかった。
一般学生よりはるかに高い割合だ。

そりゃそうだ。競技によっては年間に何十万では足りないくらい活動費が掛かる。
そこに学費や寮費などがかかるのだから、ご両親の経済力だけではどうしようもない環境にいる学生が増えるのは明らかだ。

昨今、奨学金金利や、取り立ての圧迫が問題視されている。
いうなれば18歳で数百万円の利子付き借金をするようなものなのだが、危機感無く借り受けしてしまう風潮もあるはあるのだが、じゃあどうするって話でもあるわけで・・。

gendai.ismedia.jp

hokensc.jp

そんな中、奨学金の返済を続けながら、大学卒業後も就職しながら競技を続け、国体に出場し、上位入賞を果たした選手と話をした。

スキーの選手だが、大学卒業後は実家で暮らし、介護の仕事をしながら、母校の練習にコーチとして参加させてもらいながら、トレーニングに励んでいるという。

ちなみに彼の手取りは月11万円とのこと。そのうち、毎月3万円近くが奨学金の返済に充てられているという。

奨学金の利子や取り立て等に関してはここでは深くは言及するつもりはないが、現実的に大学卒業時に利子含め総返済額600万円を超える借金を背負うことになっている。

 

その中で、競技を続けているのは彼の自由だが、スポーツ文化が発展するうえで、金銭的、経済的事情により、一線で活躍できるアスリートが活動を終わらせてしまっては、市場の衰退に大いにつながり、それはやがてトップ選手の活動、ジュニア層の活動・育成に大きく影響する。

また、高校時代の競技成績をひっさげ東京の大学に進学した選手の多くは、就職も考えて都内の有名大学に所属している。体育学部出身で有名大学ともなれば有名大手企業に就職した人も多い。

masahiro5959.hatenablog.com

 

それでも奨学金返済に悩む若者が多いのが実情だ。
箱根駅伝に出場し、実業団選手の道を選んだ選手でも、奨学金を返済しながら社会人アスリート、実業団ランナーを続けているケースもある。

一概に奨学金自体を悪く言うつもりもないが(日本学生機構や、各大学の奨学金制度には多様な形があるのも知っている。)、制度を見直す必要性が全くないとは思えない。
学生時代スポーツに打ち込んだ選手が、社会人になっても、活動を続けることは市場の活性化、レベルの底上げ、生涯スポーツ文化の発展にも大きな好影響を及ぼす。

それが、経済的問題で選手をやめてしまい、そんな先輩たちを見た現役の学生アスリートが、自分も卒業したらスポーツは続けられないんだなとなってしまう現実は悲しい。