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これが私のアナザースカイ 【LONDON=ロンジャパ】

今回はプライベートな内容が多い&節目的な備忘録でもあるので、今風に言うと2億年ぶりにこちらにします。

先日38歳と言うなんとも微妙な歳になりましたが、40代と言う人生の転換期の最終準備が始まったのではないかと思っております。

そんな38歳を目の前に行われたロンジャパの集いがあったので、備忘録を兼ねて私にとって非常に大きな経験となったロンドン留学とロンジャパについて備忘録を残します。

今から15年前の23歳9月。大学卒業間近に負った交通事故による上腕部骨折も癒え、多くのリービングパーティーを開いてもらってボロボロの肝臓とわずか15万円の日本円、そして今の若いサッカー選手たちには馴染みがないであろうPUMAのエナメルバッグにサッカー道具とスパイクと少しの私服を詰め込み、アコギのハードケースと共に私は成田空港にいました。

中学時代に想いを馳せていた初恋の女の子と聴きまくったGLAYHEAVY GAUGEというアルバムのラス曲「Savile Row」を聴きながらまだ見ぬロンドンという土地に想いを馳せ、出国を待ちました。


そもそも留学を決めたの高校サッカー部を引退後からずっとBARで働き、友人らと遊びでバンドを続けていて、高校大学とサッカー部に所属していたこともあり、「サッカーと酒と音楽がある街=LONDON」という至極シンプルなモチベーションでした。

あまりの荷物の少なさに「あなた辞書くらいは持ってるの?」という母親の質問に「NO」と答え、「あなた何しに行くの・・」と成田で電子辞書を買ってもらったのは今となってはいい思い出です。

そうしてロンドンに着き、12時間のフライトと無事着陸した安堵感で喉を潤したいなと思った私は空港内に「thirsty?」と大きく書かれていた自販機でコーラを買いました、当時のレートは1ポンド約250円。コーラ1本1ポンド。つまりコーラ1本250円。15万円しか持っていない私は日本の感覚で言うと7万円ちょっとしか持っていない状態であることを入国の際に思い知らされました。

留学斡旋会社にかなりの額を支払ったことで、10ヶ月の語学学校。最初の1ヶ月はその学校に併設されている寮に住むことができるので、一旦のベースはありました。

寮に住んでる1ヶ月の間に携帯、バイト、家を見つけると言うミッションが課せられているので、入寮翌日から、情報収集に出ました。幸い留学斡旋会社のロンドンオフィスが徒歩20分ほどにあり、語学学校共々ロンドンの聴衆深部だったため、絵葉書のような街並みを歩きながらロンドンオフィスに向かいました。また、中学時代の友人が既に5年以上ロンドンに住んでいたと言うこともありがたかったので不安はほとんどありませんでした。
今のようにSNSが活発ではなく、mixiが全盛期ではあったものの、当然今のようになんでも欲しい情報があるわけではないので、文字通り探しに行く機会が多かったように思います。
そうしてロンドンオフィスに到着して、まずは日本人でサッカーやってる人たちがいたらそこで仲良くなっちゃえばイージーゲームだなと思ってたヤングなスズキの目に「ロンジャパレディースメンバー募集!コーチは浦和レッズユース在籍経験あり!」と言う掲示板が飛び込んできました。早速連絡先をメモしてメールでコンタクトを取ると早川さんという方から返信がありました。
高校大学と部活でサッカーをしていた23歳ということを伝えると、ロンジャパには男子チームがあり、なんならめちゃめちゃ歴史のある海外日本人アマチュアクラブとのこと。元々女子チームのコーチ伝いにサッカーコミュニティに足を突っ込もうと思っていた私にとって、願ったり叶ったりの状態で早速その週末に練習試合があるからということでいかせていただく事になりました。

ちなみにロンジャパとは通称で正式名称はLONDON JAPANESE FOOTBALL CLUB。創設から今まで数多くのサッカー関係者や駐在さん、留学生が所属していた現役バリバリの草サッカーチームです。略してロンジャパ。

ロンドン郊外の大きな公園に当たり前のようにサッカーコートが数面あり、当たり前のように対戦相手の腹の出たおっさんたちがわさわさと集まり徐に着替え、徐に試合が始まる空気になる。

イギリス,ロンドンのリージェントパークの大きな木とサッカーをする人々[10770000300]の写真素材・イラスト素材|アマナイメージズ



私は新参者という事で、当日15人ほどの参加者がいたこともあり、後半からとのことで、試合観戦。
ロンジャパの面々は学生までサッカーをしていた駐在さんや、ロンドンにコーチなどの資格を取りに来た人たちで構成されているので、みんな普通に止める蹴るもできるし、若い人たちは当然走れる。
ロンジャパで驚いたのは佐伯マサさんと坂本さん。元プロとかってこの人たちのことを言うのね。ってレベルでした(実際本当に元プロレベル)。普通にうまい人も多くて幸いな事に楽しくできそうだななんて思っていたら、前半全く点が入りません。

相手は明らかに平均年齢は10個くらい上の腹の出たおっさんたち。ずっと押し込むけど、クロスは上げきれない、シュートは打ち切れない。相手に渡ったボールを大きくクリアーされて、相手FWも頑張って追うけど当然ロンジャパがうまく処理して、同じことの繰り返し。

前半が終わり、後半から出場。公園ついた時から思っていたがまずは芝というか地面の柔らかさに驚く。粘土質とでもいうのか日本の天然芝とは明らかに重みが違う。1歩1歩グニュっと入っていく感じ。ピッチの中は尚更だった。

そして、試合が始まり違和感はさらに強まる。寄せは強いもののまぁ別にこれくらいは、、と思っていたが抜けそうで抜けない。球際よりもっともっとシュート側というか決め所での彼らのギアの入り方は全然違う。腹の出たおっさんたちが全身でものすごい形相でシュートブロックに来る。切り返しなんてしようものなら足ごとというか全身持って行かれる。そしてボールには若干触れているのでレフェリーも当たり前のように笛は吹かない。日本では危険なプレーと言われるようなプレーだが。チームメートも相手チームも当たり前のようにプレーを続ける。むしろそんなとこで切り返しするなんて馬鹿か?って空気感。

こうして何もできないまま後半も終えた。確か佐伯マサさんが決めたゴールで1−0の勝利だった。
試合後は徒歩2分ほどのパブで思い思いにビールを飲む。対戦相手の腹の出たおっさんたちもわさわさと集まり、ビールを飲みガッハッハ笑っている。
試合に負けて、お世辞にも上手だと思う人は一人もいなかった対戦相手のおっさんたちが本当に楽しそうに飲んでいる。
少し経つと、国内では絶対に見ないようなカードの試合がパブ内で流れる。
一つ一つのプレーにあーでもないこーでもないとおそらく言いながら、激しいコンタクトのたびにパブ内には歓声が沸き起こり。イージーミスには顔を真っ赤にして罵声を浴びせている(TV画面に)。

ロンジャパのサッカーは毎週日曜の午前中。ロンドンにいた12ヶ月の間毎週この景色が続いた。

不思議なもんで2〜3ヶ月経つとこの景色は当たり前になっていた。

時折、あ。この人うまいなぁって人が対戦相手にいる時もあるが、大抵は腹の出た40前のおっさんたちが相手。つまり今の俺と同じくらい。

当時ロンジャパで一緒にボールを蹴っていた人たちも今の俺と同じ歳の人たちが多く、代表の渋谷さんは両親と同い年だ。当時すでに55歳だったのに、当たり前のようにスパイクを履き、サイドを走り回る。ちなみに渋谷さんのクロスを決めるとその日のPUBは無料で飲み放題になるからたまらない。勝手にたかっていただけだが。


語学留学というていで入国したものの、ここでは書けないようなことをたくさんして学校生活も一瞬で崩壊し、この堪らない快感に取り憑かれた私はワーホリできた人よりも日本食レストランのバイトシフトを多くして、平日の休憩時間に最寄りの公園でリーグ所属チームの練習に参加させてもらいながら、土曜は1日サッカーして過ごし、日曜はロンジャパ。


当時のロンジャパは半分が駐在さんでサッカーボールがなければ、お会いすることもなかったような層の方々。貧乏留学生の鈴木は散々この人たちにお世話になった。ロンジャパの先輩方と一緒にいてお金が減るどころか、キャッシュオンなのでお前の分も買ってきていいよと10ポンドもらってギネス二杯とチップスを買って8ポンドくらい。お釣りを返そうとするとやるよ。となるのでこれを5〜6人繰り返し、日銭を稼いでいた。
人の入れ替わりも多いのでお別れ会や歓迎会は高級な中華レストランで行われ、数多くの失態をかましたにも関わらずお支払いに関わったことはありません・・。

そして何よりすごいのが、長い歴史を誇るこのロンジャパに在籍した人たちで東京でも定期的に集まり、ボールを蹴ってお酒を飲む文化がいまだに続いていることです。一定以上の愛をフットボールに捧げてきた人たちと達と蹴り、飲む酒はたまりません。
ロンドン時代に関わることのできなかった諸先輩方や後輩達とも幅広いコミュニティが生まれ、後にJリーガーの端くれとなったもはや相方みたいな後輩もこの縁で知り合いました。

7人、座っている人、室内の画像のようです


38歳という年齢はおそらく当時ロンドンでお世話になった方々の平均年齢を超えているかと思っています。
あの頃諸先輩方から強烈に感じた「大人」にはなれていませんが、このクラブがなければ、あの経験がなければ僕のロンドン生活はとんでもない事になっていたでしょう。そして、間違いなく今こんなに楽しい人生を歩むことはなかったのではないかと思います。

これからも続くロンドンでの繋がりがまだまだ楽しみです!!

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