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スポーツとか色々書きます

エキスパートこそ色々やっている・・・?

先日、ある冬季競技のトップアスリートとゆっくり食事をする機会に恵まれた。
平昌ではメダルは確実、金メダルの最有力候補という。

その競技がめちゃくちゃ盛んな北欧出身の外国人選手だ。

その競技で言えば紛れもない「エキスパート」だ。
エキスパートとは専門家・達人という意味らしいので、そのアスリートは紛れもなく達人である。

 

では達人が達人である所以とは何か。
とても興味深い話を聞くことができた。

 

俺「冬季競技では、いくら北欧出身とは言え、年中雪山を滑るわけにもいかないですよね?それはそれで大変な環境ですよね?」

 

選「いや、そんなことはなく、雪に接しようと思えば接することはできる、コストがかかることはもちろんけど・・。日本の選手が一年間雪に接しようと思ったらそれは僕よりコストはかかるだろうけどね・・。ただ、僕はあえてそうしていないよ。」

 

俺「雪の上で競技する人間ができるのにやらないとはどういうこと?」

選「平地で様々なトレーニングをしたり、暖かくなればウェイクボードをしたり、山道を歩いたり走ったり、マウンテンバイクに乗ったり、World Cup期間以外はできるだけ色々なトレーニング、競技をしているよ。」

 

俺「そうなんですか??」

選「自分の競技のトレーニングはもちろん大事だけど、World Cup期間が近づけば必ずすることだからね」

俺「怪我とかは怖くないんですか?」

選「シーズン中の競技の方が怪我のリスクはあるし、何をしても怪我のリスクはある。そのリスクをどれだけ減らすかももちろん重要だし、何より、無理のない範囲で楽しむことが大切だと思うよ。トレーニングの一環で取り組んでるから、もちろんしっかり意識することは意識するけどね。」

俺「自分の競技以外のトレーニングを取り入れた方が効果的という事ですか?」

選「僕はアスリートでありたいんだ。自分の競技以外にも積極的に取り組みたいと思っている。日本に来たのもWorld Cupのためではあるけど、古武術を学んでみたいんだ。体の動かし方、呼吸法で新たな発見があるかもしれないしね。
トレイルランやマウンテンバイク、ウェイクボードやトランポリン、バスケット、卓球は本格的なシーズン以外には積極的に取り入れているよ。」

俺「凄いですね・・・。」

選「僕の国では様々なアクティビティに子供の頃から触れていることが当たり前なんだ。他の競技の選手も、いろいろな競技に触れているはずだよ。
1つの競技でしか学ばないものと、多くの競技から学ぶのもどちらがいいかという事。それを自分が最も得意とする競技に生かすことが大切かな。」

俺「そうですね。凄くわかります。」

選「そうすることで、様々な交流もできるし、逆に自転車選手と一緒にスキーのトレーニングをすることだってある。もちろんウェルカムだ。アスリートとして競技は違うかもしれないけど高めあう関係はとても素晴らしいことだと思うよ。最高の友人だ。」

 

俺「ありがとうございます。これから古武術のトレーニングですか?」

 

選「今日はこれから浅草に行くんだ。寺や神社もたくさん見てみたい。座禅にも興味があるし、先月はヨガを体験した。素晴らしかったから今では毎日ヨガをやっているよ。もしかしたら座禅も今後取り入れていくかもね。ただあのポーズを長時間することができるか・・」

 

俺「お忙しい中ありがとうございました」

 

選「またね!(かっこいいウィンク)」

 

 

 

目から鱗というか・・・しかしそんな話を聞いている時に思い出したニュースがある。

www.fujitv.co.jp

 

この記事にあるように、渡部選手も様々な競技にチャレンジしている。

 

エキスパートであるために、本職以外のものからエッセンスを取り入れる。

 

日本の長距離選手も未だにロードの練習ばかりしているという。

最近になってようやく、クロカンやトレランを取り入れる指導者が増えてきたが、
怪我につながると敬遠する指導者選手は今なお数多く存在する。

ケニアの選手は基本的に負荷の強い芝や舗装されていない道、トレイルコースを好む。
足の使い方、着地の感覚、筋肉の使い方が鍛えられるそうだ。
ロードで早く走るにはいろいろなコースで走れる方がいいと口をそろえる。

むしろロードだけ走っていては足場が固いので疲労の蓄積が激しく故障につながるという。

サッカーならサッカーしかしない。野球なら野球しかしない。
もう今はそういう時代ではない。身体の動かし方、育て方を様々な情報を取り入れながら身に着けていき、本職に生かす。

そういう時代になっている。

 

アスリート同士の交流にもつながり、スポーツ界が発展していく。
まずは予定の合う選手とトレイルランに行きまくることから始めることにしよう。