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スポーツとか色々書きます

アスリートファーストにおける違和感

ラグビーワールドカップ

感動しました。
史上初の決勝トーナメント。ベスト8。グループステージの熱戦。
競技特性など本当に多くの魅力を非常に多くの方々に伝えてくれました。

ただ、今朝のTV番組で大畑氏もおっしゃっていたように、ここがスタートラインですね。
前回大会のジャイキリ後のブームも一過性のものでしたし、なでしこも一定の水準のまま、世界一を取った感動時に思い浮かべた盛り上がりからすると、その後五輪出場を逃すなど苦難が続きました。

そう考えると、今後、ラグビーをさらに継続的に盛り上げていくには多くの課題があることもまた事実です。

特に。
ラグビーはその成り立ちや背景において、超絶な上下関係や派閥、パワハラが潜んでいる競技です。
他の競技と比べそれらの存在感ははるかに強いことはちょっとスポーツをやってきた人なら知っているでしょう。異論はほぼ認められない状況と言えます。

それらを乗り越え、まさにラグビー界、ラグビーに関わる人たちが「ONE TEAM」となって取り組まなければなりません。

そこで掲題の件ですが。

最近よく言われる「アスリートファースト」

僕はこのマインドにいささかどころではない違和感を感じています。

意味的には、「アスリート最優先」。
言葉通り、アスリートを一番に考えよう。
ってことです。
この言葉が生まれた背景には、恵まれない環境で競技を続けるアスリートや、先述した、超絶な上下関係や派閥、パワハラってなんのためよ?もっとアスリートを最優先に考えようぜ!ってところがあるのですが。
アスリートって最優先されるべきなんでしたっけ?

もちろん優先順位的に上位に位置することは理解できます。
でも、ファーストなんですかね?

(違ってたらすみません)ラグビーの今大会にかけるステップや発信の中で、ラグビー日本代表の選手から、「アスリートファースト」って言ってたの聞いたことないです。
みんな「日本のために」、「日本ラグビー界のために。」(※台風被害に遭われた皆様に少しでも勇気を。)といったマインドの元一つになったと思いますが、少なくともアスリートの口から「アスリートファースト」なんて聞いたことなかったです。

アスリートって最優先事項だったっけ?っていつも思います。
最優先されるとしたら、そんなこと順位つけるのもナンセンスですが、あえて順位をつけるとすれば最優先されるべくは競技そのものではないのでしょうか?
その競技の発展、社会への貢献を第一に考えた中で、アスリートが活躍しやすい環境をみんなでもっと整えようぜ。考えようぜ。ということを「アスリート自身」も考えていくべきなのではないでしょうか。

東京五輪を控え、様々な方面から「アスリートファースト」という言葉が聞こえます。
国書を懸念してマラソン競歩の会場が変更になるなど「アスリートファースト」の概念からどうなのだろうか?
という言葉も聞こえます。

今回僕がラグビーワールドカップでの日本代表の選手たち、そこに携わり、アイドルや過剰な演出に依存しない骨太な発信を続けてくれた方々のラグビーへの愛情、情熱に触れることで感じたことは、アスリートファーストであることの不要性です。

アスリートが活躍しやすい環境を作る、整える、準備する上で、アスリートは最優先ではありません。

決してないがしろにしてもいいというわけではないし、現状ある課題として、アスリートの環境整備などは急務です。
しかしそれ自体がマインドになったり目的になってくることはおかしいと感じています。

スポーツの魅力、競技そのものの魅力、実際にプレーするアスリートの魅力。
これらを多くの皆様に届け、認知してもらい、感動を生み続けるサイクルを作ることが最も優先されるべきで、特定の何かに「ファースト」とつけることは本質に対して的確なアプローチができなくなる大きな要因となってしまうと考えています。

様々な要素やステージがある中で、そこに取り組む多くの方々やセクションで「私はアスリートを最優先に考えます!」という方がいるかもしれません。それは状況によっては理解できます。
スポーツ界、スポーツ文化の発展無くしてアスリートの環境改善は見込めません。
そのためにはスポーツによる社会還元、社会貢献がなくてはなりません。
存在意義を明確に伝える必要があるわけです。

そして、スポーツやアスリートにその役割を果たすことができることはもう十分に知られているのです。

言うなれば「株式会社スポーツによる社会還元、社会貢献」の第1ラグビー部、ワールドカップ課は今回大きな功績を残しましたが、総務部や、学生やシニアなどを統括する第2ラグビー部も第1ラグビー部と連携したり、全国、海外に積極的に支社展開や業務提携を進めなければなりません。仮に第1営業課に所属するメンバーを日本代表として、その課を最優先してしまってはこの事業はうまく回りっこありません。花形ではあるかもしれませんが、花形であり続けるためにはみんなが憧れる存在であることも必要になります。
そのために実績を作り続けるための努力をし、みんなが「この会社に入りたいな」、「第1営業課に配属されたいな」と思ってもらえるだけの環境整備や福利厚生の充実、社内外の設備充実を図らなくてはなりません。
そのためには会社全体で事業を回す必要があります。

逆にわかりにくい例えになってしまったかもしれません。

つまりどの競技も課題はたくさんありますが、ラグビー界だけではなく各競技団体や協会が、チーム、サポート企業等、アスリート、ファンと一緒に既存の大きな高すぎる壁を一つ一つ乗り越えていく。

そのために必要なマインドは「アスリートファースト」ではないことを、ラグビー日本代表が教えてくれました。

「ONE TEAM」

かっこよすぎる上に、非常に本質をついた素晴らしいマインドだと思います。