趣味や娯楽に紐づくものは便利さではなくエンタメ性が満足度を高める
私は今スポーツネックレスを中心としたコンディショニングアイテム等の製造・販売を行なっているメーカーで働いている。
主な納品先はスポーツ卸の会社だが、そこを経由して、Amazonや楽天に出品しているいわゆるウェブショップの代理店さんや、スポーツショップなどに展開されている。
しかし、もはやスポーツ卸と代理店が付き合うメリットはほぼなく、売り上げを出しているスポーツショップさんなどは直で契約をさせてもらっている。
そんな実店舗さんを悩ますのが「ウェブショップ」だ。というより、「値引き販売」だ。Amazonなどは超薄利多売でもやっていけるが専門店はそうもいかない。
ざっくばらんに個人的な意見を言えば、それは現状仕方のないことだと思う。
便利に楽に購入したい層が「現状では」多数を占めているからだ。
しかし、この現象は今後も続くのだろうか。
私は数年で一部の商品においてその概念はなくなっていくと考える。
便利さを求めてウェブショッピングモールで購入する層がメーカーのウェブショップなどで購入していくユーザーに変化していくと考えている。
日用品や消耗品などは楽に便利に変えたほうがいいので、Amazonも含めてだが既存の店舗からドローンなどでデリバリーされる日がそう遠くない未来に来るのではないかと予想している。
何らかのデバイスや手法で情報を得て、最寄りのドラッグストアからデリバリーされるといった感じだ。もちろん一定数は直で見にいき購入することもあるだろう。
日用品や消耗品は回転が早いので各エリアに配送センターを兼ねた店舗があっても差し支えないというか、今よりもう少し便利になっていくだけ。
家電などサイズが大きいものはすでにビックカメラなどがもはやショールーム化しており、気に入ったものは即日や翌日配送となっている。
これからは家電製品などに関していえばARなどで自宅にいながらほぼ実際のものを確認し、情報を得て、注文し、巨大な配送センターから配送されてくるという流れになるだろう。
では我々のような生活必需品じゃないものはどうなるだろう。
あくまで個人的な考えだが、原点回帰して、買い物を楽しむようになると思う。
それがARなどの未来型になるまでに一旦原点回帰するフェーズがくると考えている。
なぜなら、生活必需品ではないものというのは各個人のエンタメ性に紐づいているものが多く、それを調べたり悩んでいる時間すらエンタメと紐づいているからだ。
そこに便利さを求めるフェーズが現在であれば、エンタメ性を求めるフェーズがやってくると考えている。
趣味や娯楽がよりエンタメ性を求められ、エキサイティングでスリリングなものとなればなるほど、「それに必要なものを揃える」作業は便利さではなく、エンタメ性が大切になってくる。
雑誌やテレビで憧れのタレントが来ていた服を見にわざわざ渋谷に行っていた人たちは不便だっただろうか。
それが地元のデパートにできた時同じような感動が生まれただろうか。
渋谷という街に作られたイメージに自らが飛び込み、109にいること自体がエンタメとして成立していたのではないだろうか。
それは地元のマルイでは叶えられないのだ。
しかし、SNSの誕生で、エンタメ性は体験ではなく発信に移った。
結果、Amazonでもなんでも安く早く手にすることが大事になり、それをSNS上でもなんでも視認できることが大切になった。
では、スポーツのシーンで言えばサッカーや野球、なんでもいいが、今でもスパイクやグローブ、バットを見るという作業は非常にワクワクするという人が多いのではないだろうか。
しかしある程度経験があれば、知識も伴っているので、現物を見なくても・・・「アップデートできる情報」があればOKになってくる。
この「アップデートできる情報」が肝心だ。
実際に購入しようとする作業はAmazonのほうが便利だが、情報を得て、欲しいものをピンポイントで購入するのであればメーカーが発信する情報をつかむことが大事だ。
必要とされている情報を角度高く察知しその情報を用意しておく。
その流れがあるにも関わらずでさらにAmazonに移動して新たに検索して購入するという流れは逆に不便だ。
そのステージに入ってAmazonが優位なところといえば価格だ。
しかし、メーカーが自身で売る能力が身につけば何もAmazonに卸さなくても、むしろ代理店に卸さなくても自身で販売までが可能になる。流通に関してはしばらくアウトソーシングせざるを得ないかも知れないが。
そうなると画一的な情報しか出せない現状のAmazonは厳しいのではないかという認識だ。ましてや市場価格を維持したいメーカー側とそれを意にも介さない販売店ともなると関係はどうなるかは明らかだ。
つまりより情報収集力の高い人にニーズとなる情報を届ける。そしてエンタメ性を兼ね備えたEC展開を施し、既存のショッピングではなく、「情報を得る→購入する→届く→満足感」をパッケージ化されたエンタメとして展開することが重要になると思う。
購入はもしかしたらワンクリックかも知れないが、そこまでのドラマを作る。主演:購入者、演出:メーカー、脚本:メーカーというドラマを各個人に対応できるよう作成することが大事だ。
商品を購入することが「消費」で終わってはいけない。
買わせること、買ってもらうことが目的ではない。購入後の続編も含めて情熱を持って取り組まなければならないし、それができないメーカーは淘汰される。