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危ういスノーボードスロープスタイル業界

近年、若い世代の活躍が目覚ましいスノーボード業界。

カルチャー的な背景から、これまでオリンピックで注目を集める度に、あまりよくはない印象で色々と話題を作ってくることが多かったのですが、SAJ(スノーボード全日本スキー連盟管轄で競技種目の一種として存在している)の取り組みもあってか、最近はそのような話題も落ち着いてきているように思えます。

しかし、加速度的に進む競技レベルと、若年層の強化が大きなひずみを産みそうな状況になっていることも否めません。

ちなみに現在スノーボードスロープスタイルのナショナルメンバーは男女ともに10代が中心です。

しかし、競技レベルが急激に向上したことにより、エアーやトリックも非常に危険性が伴うこととなって来てしまいました。
スリリングなチャレンジというのは非常に大きなリスクを伴います。

また、そのようなトリックやエアーを様々なシーンで撮影するライダーも多く、大きなリスクを伴うことも少なくありません。

まだ、身体が発達していない10代のライダーに大きな負担が掛かるエアーを強いてしまっている現状がそこにはあります。

スリリング&回転数至上主義は危険も伴う競技となります。

それ自体は覚悟の上でやっていると思うので、外野がとやかくいうことは控えますが、個人的には無理な体勢でぶん回した4回転より、空中姿勢、着地を完璧に決める3回転を評価される基準ができればいいなとは思っています。

しかし、メーカーやスポンサー主導の撮影で危険なエリアでのトリックなどは見る者にはスリリングでインパクトの強い映像となりますが、それをまだ大人として判断することが難しい10代にさせてしまうというはどうかと思ってしまいます。

もちろん本人の意思もあるとは思うのですが、前途洋々な若い世代が「身体に直接大きなリスク&競技生活を終わらせかねないほどのリスク」を負ってまで作る作品をどれだけの人が望んでいるのでしょうか。

スリリング&回転数至上主義はせっかく発達した若い世代が台頭しているスノーボード業界を崩してしまう要因になりかねません。

そして、海外勢の台頭も目覚ましいです。
特に最近では中国の力の入れ方がすごく、スノーボード未経験者でも中国全土から集めた身体能力が高い若い世代を日本の練習施設に数十人単位で送り込み、目覚ましい成長を遂げているそうです。

スノーボーダーからすると、楽しさの延長で競技を続けている側面もありますが、彼らは最初から競技のみとして取り組んでいるそうです。

つまり、本気のアスリートがスノーボードで競技成績を高めるためだけにトレーニングを行なっているのです。

スノーボード本来の魅力がどうなるかということもありますが、素材に巨額の投資を仕掛け、(その競技の)先進国からごっそりノウハウもコーチも持って帰り、がっつり強化しているそうです。

スノーボードがスポーツであり、順位を争う以上、そのような状況は起こりうることなのですが、そうなると、「アスリートを国益のために(そういう側面は否定できません)」活用する国家に対抗するために、よりリスクのあるチャレンジを続けなければならなくなると危惧しています。

スリリングなチャレンジに成功することも見るものを魅了しますが、スノーボード本来の魅力を外野が口にするのはおこがましいですが、スリリングなチャレンジも大事ですが、「美しい・回転姿勢、空中姿勢、着地、技への移行」をもっと重視することも大事な気がします。

アスリートのチャレンジ精神の下に不幸な事象が見えないままでいるというのは恐ろしい事だと思います。