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スポーツとか色々書きます

治してもらう日本人

久しぶりに真面目にスポーツにまつわることを書ける。

先日ある実業団チームの医療関係者の方と食事をした際に聞いた話だ。

「怪我って本来治してもらうものじゃなくて、治すものなんだよね」

日本人は怪我を治すのではなく、怪我をしないためのアクションをグループで取り組むべきだと。

先日甲子園にまつわる記事を書いたが、

 

masahiro5959.hatenablog.com

 

これだけ学生スポーツが盛んな国で、多くの競技者がいるにも関わらず、浅い知識と認識で故障に泣かされる選手が多いのが事実だ。

でも、本当に日本人は「怪我」が多いのだろうか。

日本より選手をデリケートに扱うメジャーリーグでは直近1週間(8月13日〜8月19日)で36人の選手が故障者リスト入りをしている。
メジャーリーグは30チームあるので、この1週間で1チームにつき、1.2人が故障者リスト入りしている計算になる。
対して日本のプロ野球界では直近1週間(8月12日〜8月18日)で20人の選手が故障者リスト入りしている。
若手ベテランの割合などもあるから一概には言えないが、1チームにつき1.66人が故障者リスト入りしている計算になる。

怪我の代償あれど、明らかに日本の方がけが人の割合が多い。
「アスリートは消耗品」と声高に叫ぶアメリカは、その分アスリートを大切に扱うべく、リカバリーやケアに日本とは比べ物にならないほどの投資をしている。


ある実業団駅伝チームの監督と話をした際に、「2年間まず選手たちに怪我なくトレーニングさせることだけに専念した。そうすれば3年目で結果が出ることはわかっていたし、怪我なくトレーニングを積めば伸びる選手しか取らなかったので、伸ばすことができなかったら自分の責任だし、怪我させてしまったとしても自分の責任だと思っている。」と、話してくれた。
そのチームは3年目に飛躍的に成長し活躍を果たしたことも付け加えておく。

怪我をさせないために何をしたかといったら、選手それぞれ個別にメニューを組み、自分の体について徹底的に勉強させた。とのこと。
「どういうトレーニングをどれだけやったらどこが痛くなるのか、そしてそれはなぜなのか」を専門家を交えて選手自身に学ばせたという。

効果は顕著に表れた。
各選手が次々に記録会で自己記録を更新したという。

選手自身アマチュア意識が強く、指導者のいうことを聞いてトレーニングをし、怪我をしたら練習、指導者のせいで、怪我をしたら治してもらう意識が強過ぎたという。

選手自身が自分はどうありたいのかを考え、そのために必要なトレーニングは何かを一緒に構築し、自分の体のことを徹底的に調べさせ学ばせたという。

コーチはその中で「勝てる戦略を練り、選手に伝えて実践させるのが本来の仕事である」と。そのために、「トレーナーや専門家と徹底的に選手が怪我しない環境づくりを作っていった」と。

そしてそれは本来、学生時代に知るべきことだが、選手は指導者の言うことを聞かざるを得ない状況に追い込まれ、無理をし、故障し、治し、の繰り返しで効率のよいトレーニングを高校大学と積んできたとは到底言えないのが日本のスタンダードだとも聞いた。

指導者ももっと知識を取り入れるべきだし、関係者もどんどん成長しなければならない、そしてその姿勢を見て、学生に好影響が及び、主体性を持ってトレーニングや自分自身の身体に向きあわなければならない。

学生アスリートに影響を与えるのは周囲の大人だ。
大人が成長を志さず、過去の栄光や知識にあぐらをかき、学生にだけ成長を強いるのはお門違いも甚だしい。

まずは自分が成長し、それを後輩や学生に伝える。
その文化がなければパワハラや、スポーツマンシップに反する行動が毎日のように報道される今、スポーツ界は潰れてしまう。
まだまだ日本は学生スポーツ無くして成立しないのだから、教育者として、大人として、常に成長を志すべきで、そうではない人間は指導者を名乗らないでいただきたいものである。