いもやの偉大さを思い知る。
私の職場神保町はとても素晴らしい街だ。
皇居や靖国神社、武道館も近くにあり「日本」を感じながら、ランニングだってできてしまう。
古書街としても知られ、古書だけでなく、大型書店も軒を連ねる。
スポーツ街としての側面もあり、特にウィンター関連のショップが集まり、スポーツカルチャーも申し分ない。
交通の便も良く、都営三田線、都営新宿線、半蔵門線が通る。
日大、専大、大原予備校などがありながらもオフィス街でもあるので、飲食店が多く、レベルも高い。事務所から徒歩5分圏で、ハイレベルなラーメン屋が多数ひしめき合っており、カレーの街としても知られるほど、カレー屋も多い。
そんな神保町で働いて5年が過ぎ、十分すぎるほどの愛着を持った訳だが、
ここ神保町でラーメン以外に愛すべき飲食店がある。いや、あった。
それが「いもや」だ。
神保町駅と事務所の間に、とんかつ、天ぷら定食、天丼とそれぞれの店舗があり、神保町サラリーマンズの胃袋をがっちりキープしていた、老舗中の老舗だ。
ボリューム、味、値段3拍子揃った名店だった。
付いてくる味噌汁もしじみ汁で、二日酔いの日にはよく通ったものだ。
ご飯大盛り無料で、かなり盛ってくれる。
安くて美味くてボリューミー。これ以上ない。
とんかつ、天丼の店はぶっきらぼうな店員さんたちだが、天ぷら定食の店は優しいおじちゃんもいて、いつも揚げ玉をいただいて帰る俺を覚えていてくれ、揚げ玉持ち帰り用の棚に何もない時、「仕方ないか・・・」と思いながら会計していると、「ちょっと待っててな!今揚げ玉袋に詰めるから!」なんて声も掛けてくれた。
そんな揚げ玉の最高の食し方はもちろん自宅でうどん、そばの時に使うのもそうだが、俺の一押しはTKG&Aだ。
卵かけご飯と揚げ玉だ。
黄身だけを白飯と粗く混ぜ、めんつゆで軽く味付け。そこに揚げ玉をぶっ込む。
ごま油の香ばしい揚げ玉は魚介、野菜のほのかな味が微妙なアクセントとなり、めんつゆで優しく味付けされたTKGとめちゃめちゃ合うのだ。
まるでシェフチェンコとビアホフのように、互いの個性がぶつかり合いながらもそれぞれが特徴を生かしながら得点を決め、「勝利」をもたらすのだ。
そんな最高のTKGを食べることはもうできない。
市販の揚げ玉で試してみたが、全然違う。
いもやの。天ぷら専門店の揚げ玉だったからよかったのだ。当たり前だが。
そんないもやのとんかつの方の跡地に新しいとんかつ屋がオープンしたので先日アスリートを連れて一応行ってみた。
内装もほぼそのままに、同じ形態としてオープン。
実際私が入店している間も、いもやと何の関係もないならと出て行くサラリーマンがチラホラ。
そして、何より高い。
揚げ物は単品扱いで、ロースカツは1300円ほど。
定食にするなら、ご飯セット的なものを頼むのだが、これが味噌汁、キャベツ、ご飯で300円(ご飯キャベツは確かおかわり自由)。
ロースカツは確かにいい品質だが、小ぶりで、確かに美味しいが、何か物足りない。
塩をお勧めとのことだが、何か特別な塩というわけでもなさそうなくらいありきたりな印象の塩。
大きくないので、ご飯が進まず、おかわりを要するほどではなかった。
キャベツは小鉢に入っているため、食べづらく、満足度は正直低かった。
いもやの偉大さを噛みしめることとなった。
しかし、記事にもあるように安さを求めるがために店舗に負担を強いてしまったのも事実。
いもやの天ぷら定食なら俺個人としては750円でもよかったし、とんかつも980円でも充分通ってた。
もちろん安いに越したことはないが、それによって愛するお店を失うとは本末転倒だ。
戒めとして、そしていもやへのリスペクトを忘れない為の、ラーメンもアスリートも関係ないブログを書きました。