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何でケニア人ランナーはマラソンが早い?

先日のボストンマラソンで大迫傑選手がマラソン初挑戦ながら3位に食い込み近年低迷を続けていた日本マラソン界に久しぶりの明るい話題を提供してくれました!

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タイムが出やすい気候ではなかったので(タイムを出すには少し暑い)、優勝したジョフリー・キルイ選手(ケニア)で2時間9分37秒。大迫選手と同じオレゴンプロジェクトに所属するゲーレン・ラップ選手(米)が2時間9分58秒に続くタイムとしては悪くないというか素晴らしかったのではないかと思います。

※ちなみにマラソン日本記録10傑は以下の通りです。
高岡寿成カネボウ)2.06.16 2002年10月23日
藤田敦史富士通)2.06.51 2000年12月3日
犬伏孝行大塚製薬)2.06.57 1999年9月26日
佐藤敦之中国電力)2.07.13
⑤児玉泰介(旭化成)2.07.35
今井正人トヨタ自動車九州)2.07.39
谷口浩美旭化成)2.07.40
藤原新(東京陸協)2.07.48
油谷繁中国電力)2.07.52
⑨国近友昭(エスビー食品)2.07.52

上位3位の記録はもう20年近く破られていません・・。

この間、世界のマラソンシーンはケニアを中心としたアフリカ勢の進化が止まらず、
日本と世界の差は広がり続けています。
ちなみに世界記録10傑は以下の通りです。

順位 記録 名前 大会名 大会日
1 2:02:57 デニス・キメット
Dennis Kipruto Kimetto
ケニア(KEN) ベルリン 2014.09.28
2 2:03:03 ケネニサ・ベケレ
Kenenisa Bekele
エチオピア(ETH) ベルリン 2016.09.25
3 2:03:05 エリウド・キプチョゲ
Kipchoge, Eliud
ケニア(KEN) ロンドン 2016.04.28
4 2:03:13 エマニュエル・ムタイ
Emmanuel Kipchirchir Mutai
ケニア(KEN) ベルリン 2014.09.28
4 2:03:13 ウィルソン・キプサン
Wilson Kipsang Kiprotich
ケニア(KEN) ベルリン 2016.09.25
6 2:03:38 パトリック・マカウ
Patrick Makau Musyoki
ケニア(KEN) ベルリン 2011.09.25
7 2:03:51 スタンレー・ビウォット
Stankey Kiplrting Biwott
ケニア(KEN) ロンドン 2016.04.24
8 2:03:59 ハイレ・ゲブレシラシェ
Haile Gebrselassie
エチオピア(ETH) ベルリン 2008.09.28
9 2:04:11 Tola Adere Tamirat エチオピア(ETH) ドバイ 2017.01.20
10 2:04:15 ジョフリー・ムタイ
Geoffrey Kiprono Mutai
ケニア(KEN) ベルリン 2012.09.30

 

ここ数年も好記録が出続けているのがわかるとともに、やはり目立つのはケニア勢。

なんでケニア人は速いの?
弊社ケニア人ランナーにいろいろ質問してみたので、ご覧ください。

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ケニア人はなぜ速い?
それにはまずケニアのランニング事情を少し話す必要があります。
ケニアにはランニングが盛んな地域が複数個あり、それぞれに代表的な部族などがあります。
なのでナイロビなどの都市部の人たちもみんなが速いというわけではないです。
日本でケニア人ランナーが速い理由を検索すると、牛泥棒の部族の話がよく出てくるみたいだけど、みんながみんなそんなわけじゃないです(笑)

①生まれつきの高地トレーニング
僕が生まれ育ったエリアは標高1800m位でした。
そこで中学生まで、通学にに5km、日本のように給食がないのでまた5kmかけて帰ってお昼を食べて、また往復10km。その後もママの手伝いで水を汲みに往復4kmなど、小さいころから高地で毎日20km以上走っていました。
日本人でこんな経験はできないですよね。
それでも10歳までは長い距離を走らないように指導されていました。怪我しちゃうから。その辺のけがへの意識づけも僕のエリアは高かったと思います。

②高エネルギーの食材を少量摂ることで内臓が収縮し、腰の位置が高くなる。
これは意外と知られてないんですが、内臓が小さいので余計なスペースが上半身にないんです。なのでその分腰が高くなって上半身が短くなります。
例えば卵。日本人は朝から目玉焼き2つとか食べますが、ケニアの鶏は動き回って地中の虫などをたくさん食べて育っている為非常に栄養価の高い卵を産みます。
そんな卵なので1つ以上食べたらすぐニキビができちゃいます。(笑)
貧しいので量は食べられないけど、自然で栄養価の高い食べ物を少量摂り続けていくことで、生活が成り立っています。
その結果内臓は大きくなる必要がなく、日本人に比べると小さいので、エネルギー効率もいいですし、上半身が短くなり、小路が高くなるので、ストライドの点でも有利になります。

③速い人が多い。
そんな人たちが大勢いるわけですから、周囲の大人は速い人が多いです。僕は高校から日本に行けましたが、ケニアンドリームを掴むために今でも多くのランナーがしのぎ削っています。日本を含む海外で成功した人たちも多く、イテン(ITEN:標高約2100m、ケニア西部の人口4000人ほどの町ながら、今でも多くのケニアトップランナーがトレーニングを行っている。)では何百人ものランナーが各グループでトレーニングをしています。そんな中で一緒にトレーニングできることは強くなるために最高の環境とも言えます。

④ハングリー
マラソンで成功すれば大金持ちになり、家族を安心させることができます。
厳しい国内争いを制することができればオリンピックに出てメダルを獲ることができます。海外のレースで賞金を獲得して帰らなければいけません。
さらに強くなるには遠征費や生活費も必要です。
そのためにはレースに勝って、スポンサーを獲得して、またレースに出て・・・という事を続けなければいけないのです。
なので、怪我をしないようにトレーニングをして、レースでは必ず勝つという気持ちが日本人より強いと思います。

 

 

…いかがでしょうか。
まさに走る民族!!

走るのに有利な高地で生まれ育ち、走りに適した体つきへと進化を遂げたのがケニア人ランナーなんですね。
アフリカ人の身体能力が・・・なんて簡単な問題でもないんですね。
あと当たり前ですがケニア人のみんなが速いわけじゃなく、速いのはある部族やエリアに集中しています。その辺も戦闘民族サイヤ人感が出ていて個人的には好きです。
ブラジル人全員がサッカーうまいわけでもないし、日本人が全員寿司握れるわけじゃないし。(笑)
日本がケニア式の生活をすることは難しいけれど、ケニア人ランナーは怪我を予防することに関してはすごく意識が高いです。
シューズ選び、走るコース、体調に合わせたメニュー・・・
そういった面は参考にしながら、日本人は日本人特有の我慢強い(それが怪我を生んでいることも事実ですが・・。)面が融合すれば・・・
最近は実業団を飛び出して活躍するランナーが増えてきているので、今までにはない独自性を持ったランナーが増えてくると思います!
楽しみですね!